偉大な日本人が居た

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終戦後、日本人は誇りと自信を失っていた。

そんな日本人に、再び誇りと自信を取り戻してほしいと東奔西走した人がいた。

ロサンゼルス在住の日系二世のフレッド・和田勇である。

和田は日系人のリーダー的存在で、十数店舗のスーパーマーケットを経営する実業家であった。

和田の国籍は米国であったが「僕は日本人です」と皆に言っていた。

昭和24年、米国ではまだ対日感情が悪かった頃、和田は全米水泳選手権に参加する日本人選手を自宅で世話をした。ここから和田と日本スポーツ界の交流が始まる。

昭和33年、和田のもとに日本水泳連盟会長の田畑政治が来て「和田さん、東京でオリンピックをやりたいんです。何とかご協力をお願いしたい」と言ってきた。

当時、オリンピック開催地に名乗りを上げていたのは東京の他、デトロイト、ウィーン、ブリュッセルで、東京のライバルは米国のデトロイトであった。

開催地決定はIOC委員の投票で決まるが、この時、カギを握っていたのが米国の強い影響下にあった中南米であった。この中南米を説得して支持を得られるかが東京開催の大きなカギであった。

中南米のIOC委員を説得するように日本から要請された和田は「日本のためなら、喜んで!」と引き受けた。

しかし、当時の日本政府は外貨不足で和田に渡せる資金はゼロであった。

和田は正子夫人に中南米に同行するように説得した。

「僕は東京でオリンピックが開けるなら店はどうなってもええと思うとる。今、東京でオリンピックをやれば、日本は自信と誇りを取り戻して大きくジャンプできるのや。これは僕に与えられた使命やと思う。責務や思う」。

和田の決意を理解した正子夫人は、私財をなげうって中南米に渡った。

貧しい中南米の国の委員からは「投票が行われるミュンヘンの総会に出席するには旅費その他の資金が必要です。その援助がなければ出席は困難です」と言われると、和田は「僕が全部出します」と言って委員を説得した。

和田が中南米の委員に「僕は、日本でオリンピックを開催させたい一心から、日本政府の援助なしに40日間も中南米諸国を回っている」と伝えると、彼らは皆、驚いていた。

「私にも家内にも熱い日本人の血が流れております。日本は敗戦で厳しい試練を受けましたが、いまや平和な国によみがえり、オリンピックを開催できる力を持つまでに復興しました。東京オリンピックを開催することで、日本の人々に勇気と自信を持ってもらえると私は確信しています」。

この和田の熱意が伝わり、中南米の委員達はこぞってIOC総会に出席して「東京」に投票してくれた。

その結果、全58票のうち34票が「東京」に入り、東京での開催が決まった。

昭和39年10月10日、澄み渡った空の下、東京オリンピックが開催された。

アジア初のオリンピックで、有色人種が運営したのはこの東京オリンピックが初めてであった。

各国から「素晴らしく行き届いた運営だった」と絶賛された。競技も日本選手はよく頑張り、日本は16種目で金メダルをとり、米国、ソ連に次ぐ第3位という成績だった。

東京オリンピックが日本に与えた影響は計り知れなかった。

招致が決まった昭和33年から開催の昭和39年までの7年間で、日本の年経済成長率は10%に達した。

都心には次々と高速道路が走り、一般道路も新設され、拡幅され、地下鉄の路線も増え、開会式までに東京―大阪間に東海道新幹線が開通し、日本経済を支えるインフラが完成していった。

「日本はこれで一等国になったのや。戦争に敗れて四等国になったが、よう立ち直った。日本人は皆よう頑張った」。

和田夫妻の目は涙でいっぱいだった。

以前、和田は全米水泳選手権の日本選手の祝勝パーティーの席で、こう挨拶した。

「日本人選手の大活躍で、ジャップと呼ばれていたのが、一夜にしてジャパニーズと呼ばれるようになりました。選手の皆さんのお蔭です。ほんまにありがとう。よう頑張ってくださった。わたくしたち日系人はどれほど勇気づけられたかわかりません。心から感謝とお祝いを申し上げます」。

日本がまだまだ貧しかった時、日系の人達は多額の寄付をしてくれてオリンピックの開催で経済成長させることが出来た。

その和田はこう述べた。

「僕は、心から日本を愛しています。日本が好きで好きでたまらんのです。心ある在米日系人は皆、日本を応援しとるから」。

平成13年2月、和田は93歳の生涯を閉じた。

晩年、和田は日本人に励ましのメッセージを送っている。

「日本は素晴しい国です。自信と誇りを持って、世界に挑戦してください」。

引用ここまで



孤独な自獄論者

何にも縛られず思い付くままに好き放題に書いています。 物言わぬは腹ふくるるわざなり

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