習近平もプーチンも

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引用ここから

ウクライナ戦争は、今からざっと120年前の日露戦争(1904~05年)と酷似している部分がある。ロシアは、アジアの「小国」日本を相手に戦った。この日本を支援したのが英国と米国である。英米は、ロシアの南下政策(満州と朝鮮半島の権益を握る)を食止めるべく、日本を支援した戦争である。日本は、日本海海戦勝利を機に、米国の勧奨によってロシアと講和条約を結んで終結した。

今回のウクライナ戦争は、ロシアが「小国」ウクライナを侵攻した。これに対して、英米が主体であるG7(主要7ヶ国)によって、ウクライナ支援体制が組まれている。開戦当初は、ロシア軍の圧倒的に優勢な戦況が予想された。だが、ウクライナ軍の抵抗で善戦しているのだ。西側諸国は、さらなるウクライナ支援体制を敷いている。

日露戦争とウクライナ戦争は、三つの共通点がある。

1)ロシアが、「小国」と戦っている。

2)「小国」側に、米英がついて支援している。

3)ロシアは、小国相手ゆえに簡単に勝てると踏んで開戦している。

こうした、共通点から、今回のウクライナ戦争は「第二の日露戦争」スタイルの決着になるかどうか。見ておきたい。

『毎日新聞 電子版』(3月23日付)は、「日露戦争で大敗しながらウクライナでも同じ過ちを繰り返す 懲りないロシアの時代遅れな『帝国主義』ー河東哲夫」と題する記事を掲載した。筆者は、元外交官の河東哲夫氏である。

(1)「ロシア兵士の士気は低かった。(日露戦争の)敗戦後にはロシア革命が勃発。ウクライナ侵攻と重なってみえる。1904年10月15日、ロシアが誇るバルチック艦隊は、バルト海の港を出港した。ロシアに戦いを挑んだ東洋の小国、日本の艦隊をたたきつぶし、海上補給ルートを断ち切ってやろうという作戦。いとも簡単に思われたこの企ては、大失敗に終わる」

これは、日本海までの港がだいたい日本の同盟国、大英帝国の息がかかり、自軍基地もないから補給も思うにまかせない、半年以上の船旅となった。貴族の上級士官、ついこの前まで農奴だった水兵の間には、ストレスがたまる。05年6月には、そのストレスが高まり、黒海で戦艦ポチョムキン号上の反乱――士官は射殺――が起きている。あげくのはて、バルチック艦隊は対馬の海戦で、新型の日本艦に比べて大砲が旧式であることを露呈した。

(2)「こうして05年5月には、バルチック艦隊は対馬の海に沈んだ。その直後、日本の依頼を受けた米国のセオドア・ルーズベルト大統領は、ロシアに和平を持ち掛ける。日ロ両国は同9月、米国のボストン北郊ポーツマスで講和条約を結ぶのだ。ロシアは「小国日本」をなめた上、自身の戦術、装備、軍隊の士気、その他がちぐはぐで、世界のほとんど誰も予想しなかった敗北を喫した」

アジアの小国日本が、ロシア軍を打ち破る形となった。現実は、日本もこれ以上の戦い継続は無理であり、米国が見かねて講和を斡旋した形になった。「渡りに船」であったのだ。

(3)「同じようなことが、今のウクライナで起きたらどうなるか。まさかと思うかもしれないが、ロシア軍、そしてその背後のロシアの経済・社会は百余年前にあった構造的な弱みを引きずっている。プーチン大統領は21年7月に、ウクライナはロシアと民族的・文化的には同一、そしてウクライナはまだ国家として十分機能してもいないという、上から目線の「歴史」論文を発表し、今回の武力侵略への狼煙をあげていた。何々についての「学問的な」論文を発表し、それで政府全体を洗脳するのは、昔スターリンがよく使った手。要するにプーチン大統領たちは100年前、「小国日本」へと同じく、ウクライナをなめてかかったのだ」

昔のロシア同様、現在も「大国意識」に燃えている。自意識過剰で、地に足がついた戦闘準備を怠っていた。ウクライナ戦争でもそういう脆弱性が滲んでいる。

(4)「兵士の士気。これも日露戦争の時を思わせる。ロシア陸軍の兵の多くは「契約兵」、つまり徴兵よりはまともな給与をもらってはいるのだが、しょせんはそうしたカネ狙い。上官の方は、「もうこいつにはカネを払っているのだから」ということで、昔の貴族よろしく、契約兵をアゴでこき使う。加えて兵士の中には、ウクライナに行くことを知らされていなかった者が多い。ウクライナ側に捕まったロシア兵捕虜は、「演習だと思っていたら、自分はウクライナにいたんだ」と言って泣いている」

兵士の士気の低さは、昔も今も変わらない。日露戦争では、黒海で戦艦ポチョムキン号上の反乱が起こっている。現在は、出動命令を拒否して、原隊へ徒歩で帰った兵士(約300人)も報じられている。士気の緩みは想像以上である。

(5)「そして通信。2008年8月、旧ソ連の小国だったジョージアに侵入したロシア軍は自前の通信装置が機能せず、市販のガラケーで相互の連絡を取った。秘密は筒抜け。そこで10年以降、ロシア軍は何兆円分もの予算で大々的な近代化に乗り出したのだが、今回はその効果が見えないようだ。通信がうまく機能しないと、作戦は麻痺する。どの部隊がどこにいて何をやっているか、モスクワの参謀本部は把握できているだろうか。かくて戦術、士気、装備、百年前のバルチック艦隊と同じような問題を露呈して、ロシアは対欧州正面の貴重な兵力の多くを失ってしまうかもしれない」

部隊間の意思疎通が、満足にできないという根本的な弱点を抱えている。西側に通話を簡単に傍受され、7人もの将官クラスが戦死している。通信面では、「ザル」同然の部隊である。

(6)「ロシアでは2024年、大統領選挙がある。西側の制裁で、その時インフレは数十%、輸入に依存していた消費財は店から消えてなくなっているだろう。プーチンは当選できない。彼を支えるシロビキ(主として旧KGB=ソ連国家保安委員会。ソ連共産党亡き今、全国津々浦々に要員を置く唯一の組織)は、自分たちの権力と利権を守るため、かつぐ神輿をすげ代えようとするだろう」

次の大統領選挙は、2024年である。ウクライナ出身のノーベル賞作家は次のよう言っている。「テレビと冷蔵庫の争い」と指摘する。テレビは、政府のプロパガンダ。冷蔵庫は、物価上昇を指す。物価上昇が酷くなれば、政府のプロパガンダを見破って、プーチン氏は選挙に勝てないというのだ。さて、どうなるのか。

引用ここまで

ロシアが大敗して小国に分裂することが平和をもたらす方法だろう。

それは死那についても言えることだ。

大国意識があってリーダーが馬鹿で皇帝になりたいという人物は危険だ。

習近平もプーチンもどちらもそういうタイプなので、没落する運命の国家のリーダーにふさわしい。




孤独な自獄論者

何にも縛られず思い付くままに好き放題に書いています。 物言わぬは腹ふくるるわざなり

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