近平の挫折

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中国経済は習氏によって、それまでの民営化を主体とし国有企業を補佐する「民進国退」を放棄して、国有企業主体の「国進民退」へと逆戻りすることになった。「民進国退」を推進した鄧小平路線とは当然、対立する構図である。その後の習氏は、ことごとく鄧を否定し、自らの実績を誇示することが増えた。

不思議なのは、こうした路線変更が共産党内部で議論されないままに実施されていることだ。民主主義国では、選挙という国民の選択によって決まることが、中国では習氏を取り巻く少数の人々で決められている。それだけに、権力闘争の起こる基盤が存在する。習近平政権が、絶対に安泰と言えない背景に、こうした少数者による権力簒奪(さんだつ)のもたらす不安定性がつきまとうのだ。

紅二代と取引した習近平

習近平氏は、今秋に異例の「国家主席3選」を目指している。習氏には、国家主席就任当初から超長期政権を目指す狙いがあったと見られる。前述の「国進民退」には、中国共産党の古参幹部の子弟の支持を得る目的が隠されていた。国有企業は、古参幹部子弟が株主に名を連ねている。習氏は、この「紅二代」の利益を保証することで、支持を取り付けることに成功した。「国進民退」は、習氏の立身出世を保証する道具になった。

習氏による立身出世の目的が、習氏の行なった政策の出発点である。習氏が、終身皇帝になるために「中華の夢」を語り、米国の世界覇権へ挑戦することがこれに彩りを添えた。世界覇権を実現するには、ロシアのプーチン氏との協力が不可欠である。国内的には、少数民族による紛争を封じ込めなければならない。新疆ウイグル族弾圧は、こういう背景で始まった。100万人単位での強制収容が、「第二のホロコースト」と非難されていることは周知の通りである。

習氏は、今年2月にプーチン氏との「限りない友情」を誓い合う中ロ共同声明を発表した。これが、その後のロシアによるウクライナ侵攻で、西側諸国から習氏へ強い疑惑の目が注がれている。習氏が今後、台湾侵攻へ踏み切る手がかりにするのでないかという疑惑だ。もう一つ5月中旬に、新疆ウイグル族弾圧に関わる内部資料が写真付きで漏洩した。習氏が、新疆ウイグル族弾圧を指示した張本人であることを裏づけている。

このように、期せずして習氏にとって極めて不利な事態が起こっている。習氏が、永久政権という毛沢東張りの欲望を持たなければ、起こらなかった事件であろう。これらによって、中国は欧米諸国から強い警戒感に曝されている。

中略

さらに、前述のような習氏による「プーチン氏への友情」と「新疆ウイグル族弾圧」のもたらす欧米からの中国非難が、習氏を追詰める要因になってきた。とりわけ、これまで欧州は、中国へ親和姿勢を取ってきた。それが、習氏に関わる前記の二要因によって、「中国と縁切り」へ進む可能性が大きく膨らむ状況だ。習氏は、この厳しい現実を受入れなければならない。

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孤独な自獄論者

何にも縛られず思い付くままに好き放題に書いています。 物言わぬは腹ふくるるわざなり

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