死那経済の終焉

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『フィナンシャル・タイム』(3月17日付)は、「ブラジル、中国製品にダンピング調査 輸入急増で」と題する記事を掲載した。

ブラジル開発商工省は、中国の工業製品にダンピング(不当廉売)の疑いがあるとして数件の調査に乗り出している。南米最大のブラジル経済は、安価な輸入品の大量流入を受けて揺らいでいる。同省は業界団体の要請を受け、この6カ月間で少なくとも6件ほどの調査に着手している。対象製品は金属シート、塗装鋼板から化学製品、タイヤに及ぶ。ブラジルが調査に乗り出したのは、中国の輸出品が殺到すると世界が身構えるタイミングだった。

(1)「世界第2の経済大国の中国は不動産不況と内需不振を背景に、過剰生産能力の問題を抱えている。中国は経済テコ入れのため、太陽光エネルギー、電気自動車(EV)、電池などの先進の製造業に投資を行っている。中国の鉄鋼製品の輸出はブラジル向けだけでなく、ベトナム、タイ、マレーシア、インドネシア向けもここ数カ月で急増している。先進国市場は、中国からの輸入品に対して広範にわたる対策を取り始めた。欧州連合(EU)は中国製EVへの反補助金調査に着手し、米バイデン政権は最近、中国製自動車に対して安全保障上の懸念を募らせている」

中国は、異常なほどの過剰生産能力を抱えている。地方政府が、補助金を出して生産を奨励してきた結果だ。市場経済であれば、こういう事態まで悪化することはない。

(2)「中国の2024年1〜2月の輸出は前年同期比で7.1%増え、輸入の伸びを大きく上回った。野村のアナリストは15日付の調査報告書で「中国の輸出価格が長期的に下落しているため、中国と一部の経済大国の間で貿易を巡る緊張が高まる可能性がある」と指摘した。中国の税関データによると、同国の対ブラジルの輸出入は1〜2月にいずれも3割以上増えた。

中略

(3)「中国との貿易摩擦は、対中関係の発展とブラジル国内産業の保護・育成を目指す左派のルラ大統領にとってジレンマとなる。23年に大統領に返り咲き通算3期目に入ったルラ氏は就任以降、産業政策を経済戦略の中心に位置づけている。だが、ブラジル政府はおそらく中国政府との対立を避けようとするだろう。中国はブラジル最大の貿易相手国であり、ブラジル産の大豆や鉄鉱石などの商品を大量に購入している。ブラジルの23年の対中輸出額は1040億ドル(約15兆5000億円)を超えた一方、中国からの輸入額は530億ドルにとどまる。ブラジルは23年に大豆1億100万トンを輸出したが、対中輸出はその70%、金額にして約390億ドルに上った」

ブラジルは、中国へ大豆や鉄鉱石で23年の対中輸出額が1040億ドルにも達している。中国は、ここをついて輸出を急増させ対ブラジル貿易赤字の帳消しを狙っている。

中略

(5)「中国産工業製品の流入急増に対して懸念を表明している新興国はブラジルだけではない。タイでは反ダンピング課税をすり抜けていると政府が中国企業を批判し、業界団体は市場に安価な鉄鋼が出回っているせいで多額の損失が出る可能性があると表明した。ベトナム政府は国内業界の苦情を受け、中国から輸入する風力発電タワーや一部の鉄鋼製品についてダンピング調査を始めた。

タイやベトナムも、中国製品の輸入急増に音を上げている。これまでは、中国企業の進出で潤っていたが、それを上回る輸入ラッシュに晒されている。

(6)「23年8月、メキシコは自由貿易協定を結んでいない国からの輸入品数百点に対して5〜25%の関税を課した。これにより中国は特に大きな影響を受けている。メキシコの措置は、米政府関係者からの圧力増大を受けて取られた。米国はメキシコが第三国から輸入する鉄鋼の原産地を明確にする努力が不十分ではないかと指摘している。貿易の専門家によると中国を念頭に置いた言葉だという」

メキシコは、中国へ数百点に対して5〜25%の関税を課している。米国は、メキシコ経由で割安な中国製品の流入を警戒している。

引用ここまで

孤独な自獄論者

何にも縛られず思い付くままに好き放題に書いています。 物言わぬは腹ふくるるわざなり

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