南超賤の「ベネズエラ化」

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 趙甲濟氏はチャベス政権下のベネズエラが、いかに悲惨な道をたどったかも強調した。「フォーリン・アフェアーズ」の「Venezuela’s Suicide―Lesson From a Failed State(ベネズエラの自殺――失敗国家からの教訓)」を記事に引用した。その部分を要約する。

●ベネズエラは中南米で最も伝統がある強力な民主主義体制を誇っていた。域内のどの国家よりも社会安全網が整備され、すべての国民に無料の医療と高等教育への支援が約束されかけていた。メディアは言論の自由を謳歌し、政治体制も透明で平和的な政権交代も行われていた。

●そのベネズエラが、戦争をしたわけでもないのに、中南米で最も貧しく、最も新顔の独裁政権が君臨する国になった。医療体制は崩壊した。ごく少数のエリートだけが飯を食べ、今世紀に入ると中南米で最も多くの難民を生む国になった。政府の直接的な統制を受けない少数のメディアさえも弾圧を恐れ、政府の立場を代弁する。物価は25日ごとに2倍となり、2018年の上昇率は1000万%と予測されている。

 確かに、チャベス前大統領から現在のニコラス・マドゥロ大統領に続くベネズエラの左派政権と、金大中(キム・デジュン)―盧武鉉(ノ・ムヒョン)―文在寅の韓国の左派政権には共通点が多い。

 チャベス政権は、米国が主導する新自由主義的な経済政策に対する不満の中から生まれた。韓国初の左派政権である金大中政権も、IMF(国際通貨基金)と米国が新自由主義的な政策を韓国に押しつける中、それへの反発をテコに誕生した。

財閥への経営介入が始まった

 だから、いずれの国の左派政権も、国民の「反米民族主義」を煽って人気を得ようとする。2006年9月の国連総会演説で、チャベス大統領がジョージ・W・ブッシュ米大統領を「悪魔」と呼んだことは有名だ。

中略

 1月30日、韓国の退役将軍が集まって現役の軍人に、「文在寅政権に服従するな」と呼び掛けた。2018年に結んだ「南北軍事分野合意書」は韓国軍の防衛能力を一気に落とす国家の自殺行為であるとして、軍人は拒否せよと訴えた。駐留経費の交渉で米国と葛藤を引き起こしたことも厳しく批判した。

 呼び掛けたのは、3人の元国防長官を含む予備役の将軍450人。「大韓民国守護予備役将軍団」の名称で「大韓民国国軍に告ぐ」を発表したのだ。麗澤大学の西岡力客員教授が、「国基研ろんだん」で日本語に翻訳している。

 2月7日には保守派の最大野党「自由韓国党」の有力議員、金鎮台(キム・ジンテ)氏が文在寅大統領の当選無効を主張した。2017年の大統領選挙当時のネットによる世論ねつ造事件で、文在寅氏の側近の慶尚南道知事が有罪判決を受けたため、「大統領も連座すべきだ」と主張したのだ。

 ベネズエラには今、2人の大統領がいる。左派のニコラス・マドゥロ大統領と、自分が大統領だと主張し、米国や欧州主要国が支持する野党指導者のフアン・グアイド暫定大統領(国民議会議長)だ。反米派の左派と親米派の保守の対立が激しくなり、国が真二つに裂けたのだ。

 ベネズエラと同様、韓国の左右対立も劇化する一方だ。今、韓国の牢獄には、李明博(イ・ミョンバク)、朴槿恵(パク・クネ)という2人の保守派の大統領経験者が入っている。最近、そこに朴槿恵時代の最高裁長官も加わろうとしている。

 この2人には留まらない。退任後に平穏な生活を送った韓国の大統領はいない(掲載「韓国の歴代大統領の末路」表参照)。韓国は「第2の日本」ではない。親米派と反米派が内戦を繰り広げ、常に政情が不安定なラテンアメリカの国々に、もともと近いのである。

鈴置高史(すずおき・たかぶみ)

引用ここまで

https://www.dailyshincho.jp/article/2019/02120602/?all=1


まあ、私が付け加えることは何もない。



孤独な自獄論者

何にも縛られず思い付くままに好き放題に書いています。 物言わぬは腹ふくるるわざなり

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