珍妙な展開

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インド太平洋戦略は、日米が基軸で中国へ軍事的対抗する戦略である。これに、豪州とインドが加わって4ヶ国がメンバーである。インドは6月、ヒマラヤ山中において中国との軍事衝突で20名の兵士を失った。これを契機にして、インドがロシアをインド太平洋戦略へ誘ったという情報が登場した。インド太平洋戦略へロシアが加われば、日米豪印露という布陣となり、中露関係が破綻する想像外の事態になる。

『大紀元』(9月1日付)は、「インド、ロシアに『インド太平洋戦略』への参加を要請、中露関係が微妙に」と題する記事を掲載した。

中印関係が悪化する中で、インド政府が8月初め、ロシア政府に対して、米国主導のインド太平洋戦略に参加するよう要請したことが注目された。中印領土問題と同様に、ロシアと中国も領土紛争などを抱えるため、中露関係は実際に強固ではない。

(1)「ロシアと中国の両指導部は緊密な関係を持っている。中国の習近平国家主席とロシアのプーチン大統領は2013年以降、30回以上会談した。昨年6月、習近平氏がロシアを訪問した際、両首脳は「両国の全面的な戦略強調パートナーシップを発展させていく」ことで合意した。その一方で、プーチン政権はインドへの武器売却を加速し、S-400地対空ミサイルシステムの供給を積極的に行っている。今年5月と6月、中印両軍が国境地帯で衝突したのを受けて、インド国防相は7月初め、ロシア製ミグ29戦闘機21機とスホイ30MKI戦闘機21機を購入すると発表した。さらに、インド空軍がすでに保有しているミグ29戦闘機59機の改修を承認した」

ロシアは、中印両国へ武器を供給している。ロシアは、最近の中印紛争によって、インドへ戦闘機売却を急いでいる。

(2)「今年8月初め、インドのニュースサイト「The Print」は、同国のヴァルマ駐ロシア大使が、ロシアのモルグロフ外務次官に対して、米政府の中国共産党政権に対抗するインド太平洋戦略に加わるよう要請したと報道した。台湾のシンクタンク、台湾智庫の董思斉・副会長は、「米国では、トランプ政権になってから、米露関係は良好となったが、米政界のロシアへの信頼感は低いままだった。インド太平洋戦略の理念は「自由で開かれた」ということにあるため、米国が自ら、権威主義体制のロシアに対して、同戦略への参加を要請するのは考えにくい。しかし、インドなどの参加国はロシアに要請できる」と述べた」

インド太平洋戦略の理念は「自由で開かれた」形を取っている。参加国は、自由に増えて結構という原則だけに、インドがロシアの参加を求めたとしても「違法」でないという。

(3)「近年、ロシアは、2014年S-400地対空ミサイルシステムを購入した中国当局に対して、納入を延期したことが注目された。ロシアは2018年、中国に第1搬入を行ったが、予定より大幅に遅れた。これに対して、ロシアは同年、同システムを5セット購入したインドへの供給を速めた。香港紙『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』6月29日付は、ロシアメディアの報道を引用し、プーチン政権がインドへのS-400ミサイルシステムを2021年1月までに納入することを認可したと報じた。引き渡しの予定を1年前倒ししたという。インドメディアの報道によると、同国が保有する武器の約7割はロシアから購入したものだという」

ロシアは、中国に対するS-400地対空ミサイルシステム納入を遅らせ、インドへの納入を急いでいるという。このインド優先の裏には、インド所有武器の7割がロシア製であるという事情が働いたと見られる。

(4)「在米中国人学者の陳奎徳氏は、ロシアが中国より、インドに優先的に武器を売却したことは「プーチン政権のインドへの強い信頼感を反映した。逆に、中国に対しては根強い不信感がある」と指摘した。陳氏は、1962年に起きた中印国境紛争において、共産主義陣営のソビエト連邦が中国と同じくインドにも武器を供給したことを挙げた。董思斉氏は、「ロシアがインドに優先的に武器を供給したことは、中国とロシアが同じ仲間ではないことを示した」との見方を示した。米国が中国共産党政権への締め付けを強めている今、中国とロシアがより緊密な連携関係を結ぶことは難しいという。董氏によると、現在中国当局とインド政府はそれぞれ、武器の国産化や他国への依存度を低下することを強調している。「この流れの下では、両国間の武器売買は、同盟関係、あるいは外交的立場の表明のようなものだ」

ロシアが、インドに優先的に武器を供給することは、中国とロシアが同じ仲間ではない証明という指摘が出てきた。ロシアが中印を見比べて、どちらを応援したくなるのか。中国は長い国境線で対峙する関係だけに、インドに軍配を上げているのかも知れない。

(5)「陳奎徳氏は、中国当局とロシア政府は、イラン問題に関して共通利益を持っているため、近い関係を維持しているが、「中国とロシアは根本的に、同盟国になれない」とした。中露両国の間には、長い国境線があり、歴史的な領土問題を抱えている。近年、中国当局がシベリア地域で経済的な影響力を拡大しており、中国人移民が増加した。これに対して、プーチン政権は警戒している。「ロシアは、西側陣営への復帰が、最も国家利益に一致すると考えている。トランプ米大統領は、ロシアをG8サミット(主要8カ国首脳会議)に招待すると発言したことがある。ロシアとヨーロッパ諸国の対立が深いため、反対された」。陳氏は、「長い目で見ると、中露両国は、一心同体の同盟関係にはなれない」と語った」

11月の米大統領選後に、米国で「G7」が開催される。その席にプーチン氏が招待されている。このことは、米露が敵対関係でないことを物語っている。米中対立が激しい一方で、米露には話し合える雰囲気があることは、「インド太平洋戦略」にロシアが加わる可能性を残しているのかも知れない。ただ現状では、不明としか言いようがない。

引用ここまで

でもね、ロシアは信用できないから、止めておこうよ。

孤独な自獄論者

何にも縛られず思い付くままに好き放題に書いています。 物言わぬは腹ふくるるわざなり

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